2022年8月14日

#21世紀のクラシック|第4回 アンジェイ・カラウォフ 歌劇「死の誘い」

【作曲家】

▶アンジェイ・カラウォフ(Andrzej Karałow, 1991-)
・ポーランドのウッチ出身の作曲家、ピアニスト、即興演奏者。
・スタニスワフ・モリトに作曲を師事。
・2019年にショパン音楽大学大学院の博士号を取得。
・新しい音楽の上演団体であるアンサンブラージュの創設メンバー。
・新しい芸術を特集したオンライン雑誌『スペクトルム』の創設メンバー。

【音源】

▶死への誘い
 De Invitatione Mortis
・カタログ情報
 Chopin University Press(5903600724121)
・主な演奏者
 ヨアンナ・フレシェル(ソプラノ)
 アレクサンドル・レヴィンスキ(テノール)
 ダヴィド・ドゥベツ(バリトン)
 ミハウ・オハブ(サクソフォン)
 アンジェイ・カラウォフ(ピアノ)
 メンズ・ヴォーカル・アンサンブル・グレゴリアヌム
 ジョワク/スタンキエヴィチ・デュオ
 メッセージズ・クァルテット
 マルティナ・シムチャク(指揮)
・演奏時間
 90分

【メモ】

・2018年初演。作品はフレデリック賞にノミネートしている。

・歌詞はマチェイ・パピエルスキによるもので、死を一つの生からもう一つの生への象徴的な移行とみなすキリスト教の死生観を主題としている。

・神秘劇の形式を取ったオペラであり、舞台上の演技は行われない。言葉によるメッセージを軸とした抽象的かつ儀式的な音響空間の創出を狙ったものであり、作曲者によって「メタオペラ」と位置づけられている。

・劇の構成は三部構成であり、三人の主人公(末期の病、医者、死)による三つの歌が三連祭壇画のように展開される。三部構成に加えて、時間と場所の統一性や運命の働きといった古典劇の要素が組み込まれている。

・室内楽と電子音楽と伸びやかな歌唱によって荘厳な響きが作られておりとても聴き応えがあって美しい。背景に使われる電子音や録音効果は多種多様だが、使い方がシンプルで楽想の方向性が明確なので実験的な印象はなく、むしろ制御されていて馴染みやすい。室内楽は合奏をするというよりも、場面に合わせて一つか二つの楽器が選ばれ、背景的な音かと思えば歌唱と絡んだりするといった様子で、どこか能楽の楽器パートに似た位置づけを感じる。歌唱パートは形式的な拍節や旋律がなく、歌曲というよりは朗唱と呼べるかもしれないが、朗読調のグレゴリオ聖歌とは異なり、ベルカントという感じのたっぷりとした歌唱が強く印象に残る。

・それにしても、二十代の作品とは思えない……。




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