幸運にも人々の目にも見放され
僕は独り宿無しの身に涙を流し
耳の聞こえない天を無益な泣き声で煩わしては
自分を見つめてその宿命を呪う。
希望に満ちた人のようになりたいと願い
容姿淡麗な人や友人を持つ人のようになりたいと願い
この人の技術が欲しい、あの人の能力が欲しいと望み
自分の大いに恵まれたところには少しも満足しない。
こうした考えの中で自分を軽蔑しかけても
ふと君のことを思えば、僕の気持ちは
夜明けの雲雀のように
陰鬱な地上を離れ、天上の門で賛美歌を歌い出す。
君の麗しい愛の思い出がこれほどの富をもたらすなら
国王と身分を取り替えるのもお断りだ。
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Open Source Shakespeare|Sonnet 29