2022年7月13日

イタリア料理メモ|グリーチャ、カルボナーラ、アマトリチャーナ

■グリーチャとその仲間

・塩漬け肉とチーズを土台とするジューシーなパスタ。塩漬け肉にはグアンチャーレ(頬肉の塩漬け)かパンチェッタ(バラ肉の塩漬け)を使うのが一般的で、もちろんベーコン(バラ肉の燻製)で代用しても美味しく作れる。チーズにはパルメザン(パルマ由来の牛乳チーズ)かペコリーノ・ロマーノ(ローマ由来の羊乳チーズ)がよく使われる。

・グリーチャは塩漬け肉とチーズと黒胡椒だけで作る基本のパスタで、これを卵ソースにアレンジするとカルボナーラになり、トマトソースにアレンジするとアマトリチャーナになる。

・味わいのポイントは塩漬け肉の旨味で、アレンジをする時にはこの軸を守ると美味しくなる。例えばトマトソースのアマトリチャーナを作る時も、塩漬け肉の脂をソースの主役にすることで、他のトマトソースのパスタであるポモドーロやアラビアータ、ペスカトーレとの個性の違いを一層楽しめるようになる。

・このスタイルのパスタは、特にローマを中心とする中部イタリアで親しまれている。パンチェッタはラツィオ州やウンブリア州の特産品であり、ペコリーノ・ロマーノもその名の通りローマの食卓と縁の深いチーズなので、中部イタリアらしさを出すためにパンチェッタとペコリーノ・ロマーノの組み合わせを大事にする人もいる。

・ジューシーなパスタを食べたい人にはピッタリだが、優しい味のパスタを食べたい人や旬の食材を使いたい人、色んな具材をゴロゴロ入れたい人には別のレシピが良いかもしれない。

▶グリーチャ

塩漬け肉をじっくり炒めてからパスタを加え、チーズと黒胡椒を絡めていただく基本のパスタ。

・材料がシンプルなだけに雑に作ると貧相なパスタになりやすい。肉をしっかり焼いて脂の旨味を引き出すことと、風味の豊かなチーズを使うことが美味しく作るコツだと思う。

・チーズは種類によって塩気と風味が違うため、自分の持っているチーズに合わせて量を調節しないと、塩辛いパスタやチーズ臭いパスタになる。また、チーズ以外の材料が少ないので、チーズ消費レシピとしても活躍できる。

・塩漬け肉とチーズとパスタが既に塩味である一方で、味を引き締めるためには麺の塩気が重要になるため、塩辛さが気になる人は塩気の少ないベーコンやチーズを探してみるのが良いかもしれない。

・グアンチャーレのような脂の多い肉を使う場合は、脂がたくさん出てくるので食用油を使わない。ベーコンで代用してオリーブ油を使う場合は、(パスタを茹でる前に)ベーコンを時間をかけてじっくり焼くと、脂の風味に対してオリーブの青臭さが目立たなくなって味が整いやすくなる。特に、カルボナーラの場合は卵と肉の脂の相性が良いので、この点を意識するとより美味しくなる

・ちなみに塩漬け肉を外してチーズと黒胡椒だけにするとカチョ・エ・ペペというパスタになるが、これは言ってみればごま塩ご飯や素うどんと同じ類のメニューであり、「推しのチーズをそのまま味わいたい」というような特殊な目的がないかぎり作る必要はない。

カルボナーラ(炭焼き風パスタ)

・塩漬け肉をじっくり炒めてからパスタを加え、卵液とチーズと黒胡椒のソースを絡めていただくパスタ。

・卵液をソースにするユニークなパスタであり、温度調整に失敗すると卵液がソースではなくスクランブルエッグになるというのも「カルボナーラあるある」として良く知られている。グリーチャと同じくベーコンとチーズとパスタが塩味なので、スクランブルエッグ化を防ぐために茹で汁を使うと塩辛くなり過ぎる恐れがある。卵に対する火の扱いは他の卵料理にも通じるものなので、まずは温度調整の技術を身に着けたい。

・濃厚でとろりとしたソースを作りたい時は卵黄を多くした卵液を使い、重たくないサラッとしたソースを作りたい時は生クリームを使用する。

・最後にナツメグの粉末をほんの少し振りかけても美味しい。言うまでもないが、ナツメグ中毒のリスクがあるので絶対にドバドバかけてはいけない。

アマトリチャーナ(アマトリーチェ風パスタ)

・塩漬け肉をじっくり炒めてからトマトと唐辛子を加えてソースを作り、パスタとチーズを絡めていただくパスタ。

・濃厚な味わいのソースにしたい時にはトマトを煮詰めて水分を飛ばし、さらりとした口当たりの良いソースにしたい時はトマトの水分を残す。

・カルボナーラの卵ソースに比べると、アマトリチャーナのトマトソースはアレンジの自由度が高い。アレンジをせず、塩漬け肉の旨味がトマトソースの土台になるように意識すると、アマトリチャーナあるいはグリーチャらしい個性が楽しめる。反対に、ニンニクやハーブ類、柑橘類やワインなどを使ってアレンジすると、他のトマトソースのレシピとの違いは曖昧になるが、より複雑な風味を楽しむことができる

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