誰に贈ろうか、この素敵な新しい本を
乾いた軽石で磨いたばかりの小品を。
コルネリウス*、君に贈るよ。なぜなら君はよく
僕の戯れ言を一廉のものだと評価してくれたからだ。
あの頃は君こそ、ただ一人でイタリアの人々の
通史を三巻の書物*に描き出そうとしていたというのに。
あれはユピテルにかけて教養と勤勉を湛えた書物だ。
ここにあるものは何でも貰ってくれ、この本にあるなら
どんなものでも。そして庇護者の乙女*に願おう、
それが一つの世代を超えて残りますようにと。
*「コルネリウス」
同時代の作家コルネリウス・ネポスのこと。
*「三巻の書物」
ネポスの史書『年代記』のこと。散逸している。
*「庇護者の乙女」
技芸を司るミネルヴァのこと。
▶原文(パブリック・ドメイン)
Gutenberg|The Carmina of Caius Valerius Catullus by Gaius Valerius Catullus