2022年7月26日

羅詩和訳|カトゥルス『詩集』第2歌

 

雀よ*、僕の愛する乙女のお気に入りよ

彼女はよくお前と共に遊び、お前を懐に入れ

何かを欲しがるお前に指先を出して

鋭くつつかせてせている。

僕の煌めく愛しい人が

戯れに興じる訳を僕は知らないが

思うに、彼女は自分の苦しみを癒して

深い熱情を落ち着かせようとしているのだ。

僕も彼女のようにお前と戯れて

悲しい心の悩みを軽くできたならいいのに。

それは僕を惹きつけるのだ、まるであの物語の中で

俊足の乙女*を惹きつけて

久しく締められていた帯を解いた黄金の林檎のように。


*「雀」

古代ローマには雀をペットにする習慣があった。

*「俊足の乙女」

ギリシア神話に登場する狩人アタランテのこと。求婚者には競走で自分に勝つことを要求し、敗れた者は殺害した。オウィディウスによれば、アタランテは求婚者ヒッポメネスが用意した黄金の林檎に気を引かれて競争に敗れ、その妻となった。


▶原文(パブリック・ドメイン)

Gutenberg|The Carmina of Caius Valerius Catullus by Gaius Valerius Catullus


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