耳を奪う音楽よ、なぜ悲しそうに音楽を聞くのか。
麗しきは麗しきと争わず、喜びは喜びを楽しむものだ。
なぜ君は君の愛するものを喜ばずに受け取り
なぜ自分を悩ませるものを快く受け取るのか。
よく整えられた音からなる真実の協和が
婚姻を結んで君の耳を傷つけるのは
音が君のことを叱っているからだ
担当すべき声部を潰している独り身の君のことを。
一つの弦がもう一つの弦の麗しい夫となり
代わる代わるお互いを鳴らし合う様子を見てごらん。
弦たちは父親と子供と幸せな母親に似て
みなが一体になり、一つの快い音色を歌っている。
その言葉のない歌声は一つに思える多くの声で
君に歌っている、「君の一は無に等しい」と。
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Open Source Shakespeare|Sonnet 8