2022年7月29日

英詩和訳|ダンテ・ロセッティ『命の棲む家』序歌


ソネットは一瞬のための記念碑だ。

それは魂の永遠から

死んだ不死のひと時に贈られる記念品だ。

ご覧、清めの儀式であっても凶事の警告であっても

それは自らの燃えるような充実を崇めている。

ソネットは象牙か黒檀に刻むものだ

昼か夜が統べるのに応じて。そして時間に

東西の真珠をあしらったその兜を見せるのだ。

ソネットは一枚の硬貨だ。表面が見せるのは

魂であり──裏面が見せるのは魂を支える力の正体だ。

この硬貨は生命の威厳ある召喚に応じる奉納金や

愛の高潔な従者が携える持参金に使うものだ。

あるいは暗い波止場の虚ろな息吹きに包まれながら

死への渡し賃としてカロン*の手に握らせるものだ。


*「カロン」

ギリシア神話に登場する冥界の川の渡し守。死者は渡し賃を支払ってカロンの舟に乗るとされる。


▶パブリック・ドメインの原文はこちらから

Project Gutenberg|The House of Life by Dante Gabriel Rossetti


今週の人気記事