■サケ・マス類
▶サケとマスの名称
元は「サケ」はシロザケ、「マス」はサクラマスを指していた。蝦夷地の開拓に伴いカラフトマスが命名され、北洋漁業の展開に伴いベニマスやギンマスが命名された。また、当時はサケの方がイメージが高級だったため、ベニザケやギンザケとして販売された。
■シロザケ
▶概要
「サケ」の代名詞。川の上流で生まれ、川を下って海で成長し、産卵のために川に上る。
秋から冬にかけて沿岸に登ってくる成熟した鮭が旬の鮭とされる。旬の鮭は「秋鮭」(あきざけ)や「秋味」(あきあじ)と呼ばれる。秋鮭は身が引き締まっており、脂が控えめである。これは、産卵に備えて魚卵や白子の成長のに体脂肪を使っていることによる。
成熟した鮭に紛れた成熟前の鮭は「鮭児」(けいじ)と呼ばれる。
初夏に沿岸を回遊する鮭は「時不知/時鮭」(ときしらず)と呼ばれる。これはロシア北部で生まれたシロザケが北海道沿岸を回遊しているものである。
▶漁業
漁獲は4月から8月、9月から12月にかけて行われる。
縄文時代の遺跡として川を遮る漁労施設の跡、サケの骨を含む貝塚が残っている。
江戸時代中期までは河口で漁業が行われた。手持ちの道具以外の漁労施設の例として、ヤナやウライ、四つ手網、引網が挙げられる。
江戸時代末期になると建網が使われるようになり、沿岸まで展開された。
21世紀に入ってから1970年代まで漁獲量が低迷していたが、河川での捕獲の禁止と孵化技術の研究と改善により漁獲量が飛躍的に好転した。
▶塩蔵品
山漬け(やまづけ)…山積みにした重みで水分を抜く塩漬け。
新巻(あらまき)…縄で吊るして干して水分を抜く塩漬け。
定塩フィレ…フィレ(頭・内蔵・ヒレを取った半身)を塩漬けにしたもの。山漬けや新巻に部位間の塩気の差があるのに対し、フィレは塩気の差が少ないとされる(定塩)。
高橋由一(1828-1894)
『鮭』(1877年頃)
描かれているのはシロザケの新巻。